マッチング事業強化
海外オペレーター 日系物流を紹介
ISOタンクコンテナ関連事業を幅広く展開するジェイ・トラッド(東京都中央区、北野宣幸社長)は、業務提携契約仲介(マッチング)サービスに一段と力を入れる。日本市場への参入を狙う海外のタンクオペレーターに対して日系物流企業を紹介し、結び付ける。すでに上野グループとスイスBERTSCHI Global(バーチ・グローバル)社との日本における総代理店契約を仲介した。中国や欧米を中心とした海外のオペレーターを誘致することにより成熟化した日本市場の活性化を促進していく。
近年、液体危険物のバルク輸送を主力とする物流企業が新規事業としてタンクコンテナの導入・利用拡大を目指す機運が高まりつつある。また、海外のタンクオペレーターは、重要市場の日本における基盤確立を模索している。
ジェイ・トラッドはこうした双方のニーズのマッチングサービスを提供する。この一環として、上野ロジケム(横浜市中区)とタンクコンテナオペレーターで世界第4位のバーチ社による19年2月の総代理店契約締結を仲介した。これによって上野グループは長年にわたり培った危険物輸送のノウハウを生かし、タンクコンテナによる国際複合一貫輸送に乗り出している。
一方のバーチ社は56年に設立。従業員数は約2900人で、38ヵ国・グループ76社のネットワークを持ち、スイス本社のほか、北中米(ヒューストン)、南米(サントス)、中国(上海、天津)アジア太平洋(シンガポール)、中東(ジュベイル、ドバイ)を国際輸送の中心拠点と位置付け、主に欧米のケミカル、石油メージャーに対してドア・ツー・ドアのサービスを提供している。18年の売上高は1000億円超。
現在のフリート数は2万3300基で、24キロリットルと26キロリットルの2タイプを揃える。防波板付きのタイプを多数保有するほか、歩み板も前面に取り付けるなど安全性に優れる。最高温度は160度C、加温機能は12ライン、下部荷出口は残液が残りにくく一度の排出量が多いバルブを採用している。
最近ではシンガポール・ジュロン島で保税危険物倉庫を拡充し、収容パレット数を2倍とした。中国では化学工業園区に危険物ハブ(タンクコンテナ貯蔵、危険物倉庫)を新設。ベルギーでもアントワープの危険物ハブを増強し、タンクコンテナ保管能力を2000基に増やしたほか、樹脂の保管も合わせて5万トンに増床した。
日本での事業については、これまで正規代理店を置かずに展開してきた。上野グループとの代理店契約締結により事業基盤を強化する。
ジェイ・トラッドは16年7月に設立。国内外問わずパートナーを模索する企業のサポートおよびコンサルティングを今後も展開し、ISOタンクコンテナのさらなる普及を図るとともに、タンクコンテナの販売およびレンタル事業の強化につなげていく。
『化学工業日報』2020年(令和2年)1月21日 11面