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ジェイ・トラッド タンクオペレーターの日本進出を支援

◆成熟市場の活性化を促進◆

 上野グループが世界第4位のISOタンクオペレーター、BERTSCHI Global AG(スイス)と日本総代理店契約を結び、タンクオペレーティング事業に参入し、話題を呼んでいる。両社の“橋渡し”をしたのが、タンクコンテナ関連事業を幅広く展開するベンチャー企業のジェイ・トラッド(本社・東京都中央区 北野宣幸社長)。日本市場を狙う海外のタンクオペレーターと、タンクコンテナ事業への進出を目指す日系物流会社をマッチングさせることで、成熟市場の活性化を促進する。

◆オペレーターと物流会社をマッチング◆

 日本のタンクコンテナ市場では世界“トップ10オペレーターズ”にランク付けされるタンクオペレーター大手のシェアが弱まる一方、日系大手の伸びが著しく、いわば“日本勢寡占”の様相を呈しつつある。利用者の選択が限られてくる中で、「中国、欧米のタンクオペレーターを日本に誘致し、サービスを充実させ、もう一度市場を活性化させたいという思いがある」と北野社長は話す。

 近年、日本の大手化学品物流会社がタンクコンテナ関連事業を強化し、事業拡大を進めている中、液体危険物のバルク輸送を得意とする物流会社が新規事業として同様な取り組みを目指す機運も高まりつつある。一方、タンクオペレーターにとって日本は“外せない市場”で、事業基盤を確立したいがその手法が分からない ─── 。ジェイ・トラッドではこうした双方のニーズのマッチングに注力している。

 上野グループとBERTSCHIとのマッチングもその一環。2月に同グループとBERTSCHIを北野氏が仲介し、昨年設立された上野ロジケム(本社・横浜市中区、中村哲郎社長)がBERTSCHIとの総代理店契約を締結。これにより上野グループは長年培った危険物輸送のノウハウを活かし、タンクコンテナによる国際複合一貫輸送への参入を果たした。

◆新たなプレイヤーの日本参入を後押し◆

 BERTSCHIは1956年の設立で従業員数は2900人。2018年の売上高は1000億円超。38ヵ国76グループ会社のグローバルネットワークを持ち、スイス本社のほか北中米(ヒューストン)、南米(サントス)、中国(上海、天津)、アジア太平洋(シンガポール)、中東(ジュベイル、ドバイ)を国際輸送の中心拠点と位置付け、主に欧米のケミカル、石油の荷主に対しドア・ツー・ドアのサービスを提供している。

 タンクコンテナのフリート数は2万3300基と世界第4位のシェア。24㎘と26㎘(同型で防波板付も多数保有)の2つのタイプで、業界基準でも最も高い水準。歩み板も全面に取り付けるなど安全性も充実している。最高温度は160℃、加温機能は12ラインと一般のタンクコンテナより高く、下部荷出口はより残液が残りにくく、一度の排出量が多いバルブを採用している。

 トラックは1100両保有。昨今では、シンガポールのジュロン島で保税危険物倉庫を拡充し、収容パレット数を2倍に増強したほか、中国では化学工業園区内に危険物ハブ(タンクコンテナ貯蔵、危険物倉庫)を新設。ベルギーでもアントワープの危険物ハブを増強し、タンクコンテナの保管を2000基に増やしたほか、樹脂の保管も合わせて5万tに増床するなど総合的に危険物物流事業を拡大している。

 BERTSCHIでは従来、日本では正規代理店を置かず市場参入してきたが、日本でのさらなる事業基盤強化を見据え、ジェイ・トラッドの仲介により上野グループとタッグを組んだ。BERTSCHIに限らず、外資系タンクオペレーターは日本市場の開拓に関心を示しており、タンクコンテナ5000基を有するような中国を中心とした新興のタンクオペレーターも日本に注目。ジェイ・トラッドではこうした新たなプレイヤーの参入を後押ししていく考えだ。

『カーゴニュース』2019年(令和元年)12月24日 第4825号 20・21ページ

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